◆磯崎新 『建築の解体―一九六八年の建築情況』
 

-「解体」のあとになにができるか-

モダンとポストモダン

「ポストモダン」という語は、現在ではやや古い、あるひとつの時代をあらわす単語と言える。

ポストモダンのモダンとは近代のことだ。
近代建築では絢爛な装飾を廃し、機能面を充実させるという特徴がある。

近代建築は古典主義的な様式美と比較すると、必然的にシンプルな印象を与えるものになる。

「モダンからポストモダンへ」というとき、シンプルな近代建築から、より個性的である種の混沌さをもった建築へ、ということを意味する。
それは洗練された無機質さから、各建築物固有の特徴的な性質をもったものへと変化したとも言える。

ポストモダンとひと言でいっても、それぞれが異なる性質をもったものとしてある。
「個性的」「固有の特徴」「混沌さ」などという言葉は統一したイメージをもたない。

そのため同じポストモダンのカテゴリー内にあっても、作品ごとにまったく違った印象を与えるものになる。

ポストモダンという語はそもそも「モダンのあと」という意味しかない。
それ以外の名称をつけることが不可能なことを示している。

そのため、モダンという語が指し示すものをイメージできたとしても、ポストモダンという語から単一のイメージを持つことはできない。

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