建築と活字
-都市計画はツリーでしかない-
有名な論文ではあるが
著者のクリストファー・アレグザンダーの代表的な論文である。一九六五年に発表された。
ながらく邦訳が絶版状態であったが、現在では出版されている。
本書では計画的につくられる人工都市と実際の自然の都市との違いについて書かれている。
さらにその人工都市の計画というものが、人間の思考方法によるものであるとも主張する。

パリ1878年
(https://www.loc.gov)
都市を考えるとき
都市というものは誰か特定の存在が考え、意図したとおりにできていくものではない。
そこに住む人々、活動する人々の手によってつくられていくものだ。
もちろん指導的な位置にたつものが存在する場合もあるが、すみずみまで計画的につくられるということはない。
都市つくりを計画するときに、参考とする都市はすでに存在する都市ということになる。
そこではつくられる過程でどのようなことがあったのか、なぜそのような都市になったのかを考える必要がある。
その際、都合よく解釈してしまう傾向にあるのも事実である。
論文の著者であるアレグザンダーは以下のように書く。
「現代のデザイナーの多くは昔の都市にそなわっていて現代の都市概念からは把握できない抽象的な秩序を研究せずに、事象的、具体的なものを求めようとしている」と。
その抽象的な秩序とはどのようなものであるか。
アレグザンダーはそれを”セミラチス構造”という名称で呼ぶ。
「自然の都市はセミラチス構造であると私は考えているが、現在は都市をツリー構造として計画している」