◆ジークフリード・ギーディオン『機械化の文化史』
 

-ザ・機械化の歴史-


 

ぶ厚い本

 大部の本である。
 その内容はタイトルどおり機械化の歴史についての細かい検証がなされている。

 著者のジークフリード・ギーディオンは『空間 時間 建築』で、近代主義建築の歴史を概観した。

 近代建築には”機械”がもたらした影響が大きい。
 とくに建築家たちの思想面において、工業製品が改良されていく時代の流れが大きく影響を与えた。
 それはひとことでいうならば工業製品の進化と同様に、建築も進化するべきという思想だったといえる。

 ヨーロッパの近代主義建築家たちの集合体であるCIAM(近代建築国際会議)において、ギーディオンは中心的な役割を担っていた。

Sigfried Giedion

Sigfried Giedion

 彼自身は建築の設計をおこなうわけではない。
 建築に関する文章を書くことが仕事である。
 本書を執筆するにあたり、近代主義建築の起源にあるともいえる、”機械”についての考察という開始地点があったと思われる。
 しかし結果的に、その範疇は”建築”を大きく超えたものとなっている。

 歴史に残る名著として高い評価を得ている本書であるが、”建築”目当てで読み進もうとするとかなりの労力を要する。

 機械の歴史は建築にも大きくかかわるものなのだが、本書のその内容は抽象化されたものではなく、とりあえずは個々の機械製品の具体的な開発史としてしか見えてこない。

 生活の周辺に存在する機械製品の歴史を詳しく読まされるのは、建築を期待する読者には苦痛を伴うものになる。

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