◆ヴィンセント・スカーリー 『アメリカの建築とアーバニズム(下)』
 

-アメリカの建築に必要なものとは-

 

駅とビルの建築

 スカーリーはアメリカの建築にもたらしたボザールの影響を、「のちの時代が、少なくともアメリカにおいてなし得たよりも、よりすぐれたモニュメントや、都市空間をつくりだすのに貢献してきた。」と高く評価している。

 しかし、その評価は必ずしも一般的なものではなく、たとえばボザール風に建てられた建築物が取り壊されるということもあった。

 その一例としてスカーリーは、ニューヨークの旧ペンシルヴァニア駅をあげる。
 壊される前の方が、「威厳に満ちた堅固さがあった、合理的で秩序だったものだった」と書いている。
 新しい駅は、壁にあいた穴のような入口をもった建物に見え、そこを利用するものはネズミのように出入りしている、と語る。

 とはいえ、スカーリーは新古典主義的な建築のみを高く評価しているわけではない。

 マンハッタンのビル群についての考察では一九二二年の「トリビューン競技設計」について、その設計案を参照しながら書いている。
 これらは近代建築の黎明期ともいえる時代のものだ。
 そこではボザール風であることにはこだわらずに、評価を下している。

(http://ja.wikipedia.org/より)

(http://ja.wikipedia.org/より)

 さらに、ロックフェラー・センターのビル群についても、配置に軸線をもち、焦点をもち、確固たるものであり、小さな広場をつくりだしていたと賞賛している。また次のようにも書いている。

「主軸線に対して直角に向きを変えられたことにより、群全体に風車のような運動が起こった」

 スカーリーのこのような見方、つまり一個の建築物単体ではなく、置かれた都市や周囲の建築との関係性を重要視する見方は、彼の特徴のひとつとしてあげられる。
 このような視点はこのあとでも何度か見られる。

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