◆R・ヴェンチューリ 『ラスベガス』
 

-近代建築へのアンチテーゼとしてのラスベガス-


 

建築家ロバート・ヴェンチューリ

 建築家としても著名なロバート・ヴェンチューリの著書。
 ヴェンチューリは基本的に、ル・コルビュジエジークフリード・ギーディオンに代表される近代主義建築に批判的なスタンスに立つ。

 ヴェンチューリには『建築の多様性と対立性』という有名な著書がある。
 『建築の多様性と対立性』では機能を重視し均一性を好む近代建築に対し、多様性と対立性に着目した。

 本書では近代建築に対する視点として、ラスベガスをとりあげる。

ラスベガス・ストリップにある 「Welcome to Fabulous Las Vegas」の看板 (http://www.weblio.jpより)

ラスベガス・ストリップにある
「Welcome to Fabulous Las Vegas」の看板
(http://www.weblio.jpより)

 

近代建築に対する批判とラスベガス

 ヴェンチューリが批判の対象とする近代建築とはどのようなものだろうか。
 彼は次のように書いている。
「初期の近代建築家は既成のありふれた工業のヴォキャブラリーを、ほとんどそのまま転用した」
「ル・コルビュジエは穀物用エレベータや蒸気船を好んだ。バウハウスの校舎は工場のように見えた。ミースはアメリカの鉄骨造の工場のディテールを洗練し、コンクリート造の建物に適用した」

 ル・コルビュジエ、バウハウスのヴァルター・グロピウスミース・ファン・デル・ローエと、近代建築を代表する巨匠たちの名前があがる。

 近代建築はたしかに工業からの強い影響を受けている。
 工業技術が進歩していくように、建築も進歩していくべきと考えたのが近代主義建築家たちだった。
 そのとき建築は工業製品同様の機能至上主義のもと、装飾を否定するようになった。

 近代建築を批判するために持ち出すものが近代建築からの流れを汲むものであってはならない。
 『建築の多様性と対立性』ではおもに古典主義建築の建物を参照して書かれていた。

 本書では、それがラスベガス、とくに看板や高速道路からの見えかたについての考察になる。

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